Webページ化での改変部分
西川文太郎氏の「兼松濠州翁」をWebページにするにあたっては、
なるべく、原意にそって、そのまま、転記するように努めました。
しかし、下記3点に関して、掲者の判断で改変しました。
- 章構成
- 文章の長さ
- 語句の平易化
- 章構成
原文では、伝記なのに、全ページの中頃で、主人公は永眠してしまう話になっています。
三井組を退社してから、途中経歴を跳ばして、日濠貿易開始に移り、
そして、狭い意味での日濠貿易の推移を書いて主人公の永眠の章となります。
神戸港の改善とか、為替制度の提言とか、関連する仕事は、永眠の章の後に記述してあります。
大阪商船の設立とか、大阪毎日新聞の経営とかの途中経歴も、後の章にまわしています。
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これでは、面白くないので、時間軸にそって、再構成しました。
といって、文章を変えたのではなく、単に、章と節を移動しただけです。カット&ペーストです。
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- 文章の長さ
451文字で、一つの文章というのがありました。
400字詰め原稿用紙では、一枚読んでもまだ読み終わらないという文章となります。
せっかちな現代人だと、文章の終りにくると、主語はなんだったけと忘れてしまい、意味が分るまで、
最初から読み返すことになります。
そこで、原意を失わない程度に、2つ、または3つの文章に、分断しました。
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漢文素養のある人は、英語の関係代名詞的な使い方があるようで、複数の文節を組
み合わせて、長い文章を作る傾向があります。
例えば、「~である、ここに、~である。」として文章をつないでいきます。
「日本国民は、正当に選挙された国会に・・・」で始まる、現在の日本国憲法前文の最
初の文章も、「ここに、」という関係代名詞的な用語を入れて、なんと222文字と長くなっ
ています。
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- 漢字語句の平易化
- 戦後、新漢字として制定された漢字は、新漢字を使う
輿える →与える
對 →対
- 旧かな使いは、新かな使いに変える
能
は
ざりき。 → あた
わざりき。
- 名詞以外の品詞で、次の条件の語句は、平かなに変える。
訓読みの語句、つまり、本来は和語なので、平かな表記が望ましいが、漢文好きの者が、
それに意味が近い漢字を当てはめて、やはり、それを訓で読む語句。
下記が、その例。これらは、平かな表記とした。
即ち 、
亦、
又、
然る 、
至る 、
太く 、
之 、
是 れ、
其の、
去りとて、
礑と、
未だ、
遙々、
更に、
最と、
[名詞]し居たり、→ [名詞]したり
斯くて、
只管、
且つ、
只、
所為 く、
心窃 かに、
為に、
屑 、
尚ほ、
頗 る、
如何に、
纔 に、
冀 う、
雖 も、
斯くして
如 き、如く、
或いは、
其儘、
此度、此、
豫て、
而も、
而 して、
兎角、
~する事となる。 →することとなる。
就く、
外なし。→他なし、
夫より、
能わず、
為す、
於て、
蓋し、
頗 る、
遂に、
漸く、
迄、
稍や、
然れば、
随 って、
熟ら、
茲に、
概 ね、
若くは、
愈愈、
尤 も、
暫 く、
固より、
所謂 、
孰 れも、
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- 但し、下記の場合は、漢字のままとした。
同じ訓だが、字が違う漢字。
諮る、図る、
測る、計る
言う、云う、謂う
行く、之く
これらは、漢文では似ているが、やや違う意味の語として認識されており、漢文に素養がある人は、各々の意味定義に相当する字を使っていた。
日本語口語 対 漢字 の対応語数が1:Nの関係になっている語。
著者の西川文太郎も、言う、云う、謂う は、書き分けて使っている。 これらは、漢字表記のままとした。
- 名詞の漢字
原文の格調高さを残すために、名詞はなるべく、漢字のまま転記した。
但し、次のような調整を加えてある。
- 難しい語には、ふり仮名を振る。
- 注釈を加える。
ふり仮名を振っても、意味がわかりにくい漢字。
この場合は、右注に、広辞苑の説明を転記
- 意味が似ている語句に変える
爾来 →以後、畢竟 →要は、
畢生 →終生
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お断り
原文の中身の正誤について、掲者(山本勝之)は、責任を持てません。
これは、あの世の兼松房治郎氏、または西川文太郎氏にお問い合わせください。
但し、右注の部分、背景が灰色の部分は、掲者独自の注釈や解説ですので
ご意見、ご叱正があれば、掲者までメールください。
また、このWebページそのもののレイアウトなどで、見にくい点などがあったら、掲者まで
メールください。
また、読後感などをもメールいただければ幸いです。